英文名 | Molecular Medical Science | |
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科目概要 | 医科学専攻(修士課程) 分子病態学群 2単位 講義 | |
履修期 | 前期(9月迄) | |
科目責任者 | 堺 隆一 | |
担当者 | 堺 隆一 | |
講義室 |
本講座では、悪性腫瘍などの病態をタンパク質の機能異常として捉え、病態に関わるタンパク質の質量分析による同定、構造機能相関からの機能異常の推定、細胞や動物を用いた機能解析などの手法を教えて、本態解明と新規治療法の創出への道筋を理解してもらうことを目標とする。
がんの発生と悪性化のメカニズムについて多面的に理解してもらう。またがん細胞の機能異常をどのように解析するのかを細胞や動物を使った研究の実例を挙げながら説明する。これらの内容を理解してもらうことにより、どのようなアプローチによってがんの特性を理解し、新たな治療法を開発していくことができるのかについて考察を深めてもらう。
がんの発生と悪性化に関する基礎的な理解を目標として、細胞生物学、生化学、分子生物学の基本から始め、最新の研究により明らかにされたことまでを講義する。また最後の回に、がんと関係する疾患について各自で調べレポートの形で発表してもらい、討議を行う。これらの発表に対し、理解を深めるために、適宜、コメント(フィードバック)する。
◎ | DP1 専門領域の基本的な知識を持ち、その領域の研究動向を把握 |
〇 | DP2 必要な研究手法 |
〇 | DP5 データに基づいた論理的な学術論文の作成 |
回 | 項目 | 内容 | 担当者 | 日時 | 講義室 |
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1 | タンパク質の構造と細胞内シグナル伝達 | タンパク質のドメイン機能と修飾によるシグナルの制御 | 堺 隆一 | 5/12③ | M1号館9階大学院ゼミ室 |
2 | チロシンキナーゼの種類と病態 | 受容体型・非受容体型チロシンキナーゼと疾患 | 堺 隆一 | 5/12④ | M1号館9階大学院ゼミ室 |
3 | タンパク質の修飾や相互作用の解析法 | 翻訳後修飾やタンパク質相互作用の検出・定量法 | 堺 隆一 | 5/19③ | M1号館9階大学院ゼミ室 |
4 | 遺伝情報の修復機構と発がん | 遺伝子の修復機構の異常とがん、遺伝性がんについて | 堺 隆一 | 5/19④ | M1号館9階大学院ゼミ室 |
5 | がんの発生と悪性化のメカニズム | がんの発生とがん遺伝子・がん抑制遺伝子の役割 | 堺 隆一 | 5/26③ | M1号館9階大学院ゼミ室 |
6 | がんの転移・浸潤を制御するタンパク質 | 転移浸潤に関わる細胞の特性とそれに関わる分子群 | 堺 隆一 | 5/26④ | M1号館9階大学院ゼミ室 |
7 | がんの不均一性と治療抵抗性 | がん幹細胞・クローン進化と転移・治療抵抗性の関わり | 堺 隆一 | 6/2③ | M1号館9階大学院ゼミ室 |
8 | がんと間質との相互作用 | がんと間質細胞の相互作用の解析法や可視化技術 | 堺 隆一 | 6/2④ | M1号館9階大学院ゼミ室 |
9 | 種々のストレスに対するがんの耐性 | 細胞へのストレスの応答シグナルとがんにおける変化 | 堺 隆一 | 6/9③ | M1号館9階大学院ゼミ室 |
10 | 糖代謝・肥満とがん | 糖尿病や肥満と腫瘍性細胞増殖との関わり | 堺 隆一 | 6/9④ | M1号館9階大学院ゼミ室 |
11 | ホルモン・炎症とがん | ホルモンや炎症の調節機構とがんとの関わり | 堺 隆一 | 6/16③ | M1号館9階大学院ゼミ室 |
12 | 血液腫瘍とがんのエピジェネティクス | 造血器腫瘍の分類・遺伝子異常とエピジェネティックな制御 | 堺 隆一 | 6/16④ | M1号館9階大学院ゼミ室 |
13 | 小児悪性腫瘍の分子メカニズム | 神経芽腫を中心とした小児悪性腫瘍の特徴とその成因 | 堺 隆一 | 6/23③ | M1号館9階大学院ゼミ室 |
14 | がんの分子標的療法 | チロシンキナーゼ等を標的とした分子標的療法(レポート課題発表) | 堺 隆一 | 6/23④ | M1号館9階大学院ゼミ室 |
15 | 解決すべき課題と総合討論 | 講義全般とこの分野の研究の将来に対する総合討論・レポート課題の解説 | 堺 隆一 | 7/7③ | M1号館9階大学院ゼミ室 |
1)がん細胞の悪性形質をシグナル伝達異常として捉え、発生や転移のメカニズムについて現時点で分かっていることを多面的に説明できる。
2)がんの本態解明への種々の分子生物学的アプローチについて説明できる。
3)特定の腫瘍性疾患について適切な論文や資料をもとにまとめて、わかりやすく発表することができる。
レポート(80%)と発表時の活発な討議(20%)によって評価を行う。理由なき欠席は減点の対象とする。
予習は必要ないが、推薦している「がんの生物学」の該当箇所に目を通しておくことで理解が深まる。
復習については配布プリントなど授業の内容を復習すること。
【授業時間外の学習時間:計60時間】
特になし
種別 | 書名 |
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教科書 | なし |
参考書 | 必要はないが、理解を深めたい学生にはWeinberg著「The Biology of Cancer(がんの生物学)第2版」を薦める。 |