英文名 | Molecular Genetics | |
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科目概要 | 医科学専攻(修士課程) 分子病態学群 2単位 講義 | |
履修期 | 前期(9月迄) | |
科目責任者 | 藤岡 正人 | |
担当者 | 藤岡 正人, 長尾 和右, 高山 吉永, 三枝 智香, 末吉 健志, 尾上 弘晃, 堅田 侑作, 川又 理樹, 小栁 智義, 早野 元詞, 福島 弘明, 安井 季久央, 及川 淳, 渡邉 達也, 渡邉 めぐみ | |
講義室 |
21世紀初頭のヒト塩基配列決定を皮切りに、分子遺伝学ないし分子生物学は、遺伝情報(生命の設計図)を元にした生命現象を分子レベルの”記載学”から、既に蓄積された膨大なゲノム関連情報を基盤に、疾患病態を理解して人為的介入をする”治療学”へと変化しています。本講義シリーズではこの”治療学としての分子遺伝学”を包括的かつ横断的に学ぶことを目的とします。
前半ではセントラルドグマに作用する治療について、そのサイエンスとしての原理原則、介入標的、介入手法を学ぶと同時に、治療法開発には欠かすことのできない、薬理学的視点、規制医学的視点と関連するバイオテクノロジーを学ぶ。後半ではその社会実装に必要なものは何かを、現場の第一線で活躍するプレイヤーから直接学ぶ。
常に双方的な”講義”で積極的に学んでもらう。質疑応答を通して、リアルタイムで担当教員より受講者毎にフィードバックする。
◎ | DP1 専門領域の基本的な知識を持ち、その領域の研究動向を把握 |
◎ | DP2 必要な研究手法 |
◎ | DP3 医科学研究の専門家としての倫理観やコミュニケーション能力(授与学位:医科学) 医療技術の専門家としての倫理観やコミュニケーション能力(授与学位:医療科学) |
◎ | DP4 研究チームの一員として自分の研究課題について研究を立案・遂行する能力 |
◎ | DP5 データに基づいた論理的な学術論文の作成 |
回 | 項目 | 内容 | 担当者 | 日時 | 講義室 |
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1 | 導入と総論:セントラルドグマに作用する治療 | 分子遺伝学の基礎知識の復習と、疾患修飾薬という概念の理解、および治療薬全体の総論【スライド:英語・日本語】 | 藤岡 正人 | 6/5① | 分子遺伝学会議室/オンラインライブ |
2 | 遺伝子治療と遺伝子編集(総論) | 遺伝子治療と遺伝子編集についての総論。歴史から現状までの概要を学ぶ。【スライド:英語・日本語】 | 高山 吉永 | 6/5② | 分子遺伝学会議室/オンラインライブ |
3 | 遺伝子治療の現場から① AAVベクターとそれを用いた治療 | アデノ随伴ウィルスベクター(AAV)を用いた遺伝子治療について【スライド:英語・日本語】 | 堅田 侑作 | 6/11③ | オンラインライブ |
4 | 遺伝子治療の現場から② regulatory scienceとCDMO | 遺伝子治療に関連する規制医学と、製剤としての遺伝子治療剤を製造する際の実際を学ぶ。【スライド:英語・日本語】 | 及川 淳 | 6/12① | オンラインライブ |
5 | 遺伝子治療の現場から③ 遺伝子治療, 遺伝子編集にまつわるELSI課題 | 疾患そのものを完治する可能性を有する程の高い効果量を有する一方、極めて高コストな治療剤が登場している現状を踏まえ、社会としての新規モダリティの理解と対応についてを考える。【スライド:英語・日本語】 | 渡邉 達也 | 6/12② | 分子遺伝学会議室/オンラインライブ |
6 | CRISPR/Casとgene editing① 理論と基礎研究 | 遺伝子修復についての基礎的理論を学ぶ。どのようなデータを背景にこれらの発見がなされてきたかを、その仮説検証プロセス、および論理的思考と合わせて学ぶ。【スライド:英語・日本語】 | 川又 理樹 | 6/18④ | 分子遺伝学会議室/オンラインライブ |
7 | CRISPR/Casとgene editing② 治療法開発現場の実際 | 遺伝子修復の社会実装の最先端に触れる。【スライド:英語・日本語】 | 早野 元詞 | 6/18⑤ | 分子遺伝学会議室/オンラインライブ |
8 | 核酸医薬① RNAiとASO | セントラルドグマに作用する医薬品で、遺伝子治療とは異なるアプローチについて、その基礎的概念と社会実装へ向けた試みの概要を学ぶ。【スライド:英語・日本語】 | 三枝 智香 | 6/25② | 分子遺伝学会議室/オンラインライブ |
9 | 核酸医薬② アプタマー | 核酸医薬の中でも、アプタマーについての最先端を基礎から学ぶ。【スライド:英語・日本語】 | 末吉 健志 | 6/25③ | 分子遺伝学会議室/オンラインライブ |
10 | Drug Delivery①: PK/PD、ADMEとDDS | 新規治療法開発には欠かすことのできない臨床薬理学の基礎知識を総括的に整理する。【スライド:英語・日本語】 | 渡邉 めぐみ | 6/25④ | 分子遺伝学会議室/オンラインライブ |
11 | Drug Delivery②: ナノ技術(マイクロ・ナノ機械工学) | 医薬品を局所に届けるための最新の理工学的アプローチを学ぶ。【スライド:英語・日本語】 | 尾上 弘晃 | 6/26② | オンラインライブ |
12 | 研究の社会実装① 大学発知財の基礎的な考え方 | サイエンスの社会実装に欠かすことのできない、知的財産について学ぶ(法人知財・研究推進本部 発明アドバイザー 水落登希子博士との対談形式レクチャー)。【スライド:英語・日本語】 | 藤岡 正人 | 7/9③ | 分子遺伝学会議室/オンラインライブ |
13 | 研究の社会実装② pipelineの価値計算と起業 | サイエンスの社会実装のトップランナーから、起業や資金調達、他企業との提携等に必須であるパイプラインの価値評価(valuation)と起業を含めたキャリアについて学ぶ。【スライド:英語・日本語】 | 安井 季久央 | 7/9⑤ | 分子遺伝学会議室/オンラインライブ |
14 | 研究の社会実装③ 大学発スタートアップのインキュベーションと、トランスレーショナルリサーチ | サイエンスの社会実装の場である「スタートアップエコシステム」と「トランスレーショナルリサーチ」の手法を知る。【スライド:英語・日本語】 | 小栁 智義 | 7/9④ | 分子遺伝学会議室/オンラインライブ |
15 | 研究の社会実装④ 大学発スタートアップの実際 | スタートアップによるサイエンスの社会実装の実際について、そのトップランナーから学び、考える。【スライド:英語・日本語】 | 福島 弘明 | 7/9② | 分子遺伝学会議室/オンラインライブ |
セントラルドグマに直接作用する治療のメリット、デメリットとその具体例を説明できるようになる。各種モダリティについて概論と関連法規を説明できるようになる。サイエンスの社会実装の概要を理解すると同時に、そのダイナミズムと価値観、理知的な情熱が世界になにがしかの変化をもたらすということについて、実例をもとに肌で感じる。
レポート(50%)、授業への積極的な参加(50%)の総合評価とする。なお、欠席は減点する。
高校教科書レベルの生物学について一読しておくこと。分子生物学のセントラルドグマ、遺伝子治療や遺伝子修復、核酸医薬について、事前の深い理解は不要だが、YouTubeなどの動画メディアでその概念と概要は知っておくこと。
第12回の講義に際しては、やる気のある(時間のある)学生においては、下記の参考書を浅く広く一読しておくことが望ましい。【授業外学習時間:60時間】
理系学部、大学院を卒業しても、純粋に基礎研究のみで仕事人生を全うできる研究者は、ほとんど皆無となりました。そしてこの傾向は今後ますます進むと思われます。
理系人間の多様なキャリア形成の可能性を念頭に、社会実装の最先端を走るトップランナーに諭され、語られ、触れ合って、語り合って、変化の目まぐるしい現代を過ごす将来の”自分”づくりに役立ててもらうことを願います。
分子病態学群のみならず、理系の修士課程の学生諸氏、社会人大学院生など、幅広く受講していただければと思います。
※オンラインライブ授業はZoomを用いることとし、受講方法の詳細は履修者にメールで通知する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | ヒトの分子遺伝学 第5版 | 戸田 達史 | メディカルサイエンスインターナショナル |
教科書 | 遺伝子の分子生物学 第7版 | ジェームス・D・ワトソン 他 | 東京電機大学出版局 |
参考書 | 起業のファイナンス 増補改訂版 | 磯崎 哲也 | 日本実業出版社 |
参考書 | 起業のエクイティ・ファイナンス | 磯崎 哲也 | ダイヤモンド社 |
参考書 | 世界標準の経営理論 | 入山 章栄 | ダイヤモンド社 |